長い間の使用で傷んだり、歪みを調整する為に切りそろえたりという事を繰り返した末に脚が短くなってしまったものと思われます。古いウィンザーチェアなどに良く見られる現象ですね。
あるイギリスのレストアラーと話していたら、古いウィンザーの短くなった脚は高く直す事が殆どだと言っていました。フルレストアをして売るような高級店向きには必要な直しなのでしょう。
当店が仕入れるようなところは、そんな高級店ではなく業者向けの卸し倉庫やアンティークマーケットが中心なので、現状のまま、和骨董で言う「うぶ」な状態のものが殆どです。
そんなオリジナルの状態をお客様に見ていただいてから、お好みに合わせて修復をしたり、自分の判断でベストと思う修復をしてから販売しています。脚の短い椅子も日本の家で使うには却って好都合だったりすることも多いので、高く作り直すという事は、うちではあまりしない事が多いですね。
写真の椅子はとても朝の早い、殆ど業者ばかりが買いに来るような地方のアンティークマーケットで見つけました。朝一番で早速見つけたもので、お金だけ払って取り置きをお願いしました。仕入はスピードが命なので、見つけたアイテムは取り置いてもらい買い物を続けて最後に回収するというスタイルです。
だいぶ経ってからこの椅子をとりに戻りますと、売ってくれた業者さんがその椅子に座って段ボール箱の中に商品を詰める作業をしていました。彼曰く「この椅子は、こういった作業にベストだよ。すごく便利」。
なるほど、しゃがまずに作業できて脚も楽そうでした。
アンティークの椅子にはナースチェアという種類のタイプがあります。これは非常に座面の低い椅子で、ゆりかごの赤ちゃんをあやしたりするのに使われたのかなと思いますが、床に籠を置いて編み物をしたりといった作業にも便利なものです。
この脚の短くなった椅子は、期せずしてそのような用途に向いたものになったのですね。
こんな事もあるので、低い椅子は低い椅子のままというのもありだと思います。
それにしても、もうちょっと綺麗にしたい(例えばこびりついたペイントぐらいは落としたい)ものですが、売約品や依頼品の修復作業にいつも追われていて、なかなか手が回りません。このブログにも修復が終わったらご紹介したいと思っているものがたくさんあるのですが....
最後は言い訳じみてきましたが、使い方はともかく、魅力的な雰囲気のある椅子だなと思います。(だから迷わず仕入れたのですが)
Scrollback Side Chair
ビーチ&エルム材 1860年頃
バッキンガム地方
高さ77cm 幅39cm 奥行45cm 座面高35cm
30,000円
商品番号ZH99
www.swallow-dale.com